boss已成精 发表于 2023-10-31 11:59:56

【流花】【日翻】年年岁岁(彩云小译翻译版)

本帖最后由 boss已成精 于 2023-10-31 12:03 编辑

原作链接:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19658901
是使用彩云小译翻译的,发出来大家凑合看看。放上原作链接,有条件的请去支持原作。
放了双语(上面日文是原作句子),彩云小译翻译不明的地方大家还可以把内容放到自己常用的翻译器里看看
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この道をまっすぐ、とだけ伝えて車は進んだ。時折思い出したように標識があるばかりの道を、二時間ほど走り続けていた。
我只告诉他沿着这条路一直往前开。我像是偶尔想起来似的,在只有路标的路上连续开了两个小时左右。

「いい加減行き先を教えろよ」
“适可而止地告诉我去哪儿。”

「着けばわかる」
“到了就知道了。”

流川が言うと、運転席の花道が呆れた。
听流川这么一说,驾驶座上的花道愣住了。

ハンドルに伸びた腕は少し日に焼けていた。窓を開けると、少し伸びた花道の髪が揺れた。
伸向方向盘的手臂被太阳晒得有点黑。打开车窗,花道稍长的头发随之摇晃。

花道は長い時間の運転は苦にならないようで、休憩も取らずに走り続けていた。「天才」は花道の口癖だが、運転についてもよくそう言っている。実際、花道の運転はなめらかで、乗り心地がよかった。
花道似乎不觉得长时间驾驶很辛苦,也没有休息就继续行驶。“天才”是花道的口头禅,关于开车也经常这么说。实际上,花道的驾驶很顺畅,骑起来很舒服。

「ここまで来て、まさか海辺でドライブなんて言うんじゃねーだろうな」
“到这儿来,总不至于说到海边兜风吧?”

道の先は西海岸の海に続いていた。目的地は海ではなかったが、それもいいような気がした。
路的尽头是西海岸的大海。我们的目的地不是大海,但我觉得这样也不错。

カーステレオからラジオが流れていた。陽気な声のDJが、悩みの相談に乗っていた。ダイヤルを回すと音楽が流れた。
汽车音响正在播放收音机。声音欢快的 DJ 正在进行烦恼的咨询。拨动号码盘,音乐响起。

お前この曲好きだよな、と花道が言った。柔らかな声が、世界をあげたい、と歌っていた。車は心地よいスピードでしばらく走った。
你很喜欢这首歌吧,花道说。柔和的声音唱着,想把世界给你。汽车以令人心旷神怡的速度行驶了一会儿。

家を買ったのだ。花道には言わずに、そこに連れて行った。閑静な住宅街、というのだろうか。繁華街から離れた、静かな街の雰囲気が気に入った。
我买了房子。我没告诉花道,就带她去了那里。应该说是幽静的住宅区吧。我喜欢远离繁华街道、安静的街道氛围。

花道は信じられないと言う顔をした。家を買ったことだけでなく、そのおんぼろさにも驚いたようだ。
花道露出难以置信的表情。他似乎不仅对买房子这件事感到惊讶,还对房子的破旧感到惊讶。

「住めんのか、これ」
“不能住吗? 这个。”

「直せば住める」
“修好了就能住。”

「誰が直すんだよ」
“谁来修?”

「俺とお前」
“我和你。”

花道は露骨に嫌な顔をした。
花道露骨地露出厌恶的表情。

多分、予感していたのだろう。そしてその予感どおりになったので、花道はぶーぶーと文句を言っていた。家の修理に手を動かしたのは、ほとんど花道だった。
大概是预感到了吧。果然不出我所料,花道嘟嘟囔囔地发着牢骚。动手修理房子的,几乎都是花道。

屋根も床も張り替えて、家は別物のようになっていった。不平を口にするわりに、花道は家作りを楽しんでいるように見えた。没頭は不安を消す。つまらないことを考えるより、体を動かしていていた方がよかったのかもしれない。
屋顶和地板都换了,房子变得不一样了。虽然嘴上抱怨,但花道看起来似乎很享受造房子的过程。投入能消除不安。与其想些无聊的事情,还不如多活动活动身体。

一階の、部屋を仕切る板は全て取り払った。古い造りで柱が多いが、ワンフロアになった分、広く感じた。二階は二部屋あって、一部屋は物置にした。寝室は日当たりのいい南向きの部屋を選んだ。
一楼分隔房间的木板全部拆掉了。虽然是旧式结构,柱子很多,但因为只有一层楼,所以感觉很宽敞。二楼有两个房间,一个房间是储藏室。卧室选择了朝南向阳的房间。

内装も家具も花道が決めた。流川が主張したのは、庭に立てたバスケットボールのゴールくらいだが、言わなくても花道がそうしただろう。
内部装修和家具都是由花道决定的。流川所主张的,只是在院子里竖起的篮球的球门而已,即使不说,花道也会这么做的吧。

リビングには花道が「でーん、と」と表現した大きな革張りのアームチェアを置いた。花道はそれを気に入って、作業の休憩がてら、よくそこに腰掛けていた。
客厅里放着花道形容为“哒 -- 哒”的巨大真皮扶手椅。花道很喜欢这样,经常在工作休息的时候坐在那里。

以前は、住む場所にそれほどこだわりはなかった。子供のころから今でも、どこでも眠れるのが特技のようなものだ。静かで安全であれば、多少の不便さは気にならない。それはアメリカに来てからも変わらなかった。
以前,我对住的地方并不那么挑剔。从小到现在,能在任何地方睡觉都是我的特长。只要安静、安全,多少有些不方便都不在乎。这一点来到美国之后也没有改变。

それでも、遠征や試合であちこちを転々としていると、家がただ寝るだけのものではないのだと分かってきた。匂いと手触りと、その場所に残る記憶。「家」という場所には、ホテルや合宿所では得られないものがあるのだと知った。
尽管如此,在远征和比赛中辗转反侧之后,我逐渐明白,家不仅仅是用来睡觉的。气味、手感,还有留在那个地方的记忆。我明白了,在“家”这个地方,有着在旅馆和集训所得不到的东西。

なによりも、帰って来たという感覚は、家にだけ感じるものだ。馴染んだ匂いとぬくもりに包まれて、安らいだ気持ちで眠る。人間も巣を作る動物なのかもしれない。
最重要的是,回家的感觉只有在家里才有。被熟悉的气味和温暖包围着,以安稳的心情睡觉。或许人类也是筑巢的动物。

その時、花道には、所属しているチームとの契約があと一年残っていた。膝の不調と、監督との不和に、新メンバーの加入。理由は一つだけではなかったが、そのシーズンにスターティングメンバーとして出場した試合は片手で数えるほどだった。
那时,花道和所属的队伍还有一年的合约。膝盖的不适,与教练的不和,加入了新成员。原因不止一个,但那个赛季作为首发阵容出场的比赛屈指可数。

移籍の噂は、シーズンがはじまる前から出ていた。実際いくつかのチームから、声がかかっていると聞いた。ニュースでは、具体的な名前も挙がっていたらしい。聞いた名前はどれもアメリカ国外のチームだった。
转会的传言在赛季开始之前就已经出现了。事实上,我听说有几支球队要找我谈谈。新闻里还提到了具体的名字。听到的名字都是来自美国以外的球队。

家を買ったのは、そういう時期だ。
买房子的时候就是这样。

外壁を白いペンキで塗ると、家は見違えるようになった。水道と電気が繋がって、ようやく住めるようになった頃「荷物を持ってこないとな」と花道が言ったので、流川は「その必要はない」と答えた。
外墙刷上白色油漆后,房子就变得面目全非了。当自来水和电力接通,终于可以住的时候,花道说: “我得去拿行李了。”流川回答说: “没那个必要。”。

「なんでだよ」
“为什么?”

「テメーはここに住まなくてもいい」
“泰梅不必住在这里。”

「あぁ? どういう意味だそりゃ。テメーが一人で住む気かよ」
“啊? 你这话什么意思? 特梅要一个人住吗?”

「当分はな」
“暂时是。”

流川が言うと、花道は顔を歪めた。
听流川这么一说,花道的脸扭曲了。

「何言ってんだ、テメー。どういうつもりだよ。散々手伝わせといて、こんなデケー家に一人で住もうってのか」
“你在说什么啊,泰辅? 你到底想干什么? 让我帮你忙,然后一个人住在这种德姬家吗?”

花道は流川に詰め寄り、睨み合う形になった。
花道逼近流川,两人互相瞪视着对方。

「今のチームで満足してんのか」
“你对现在的球队满意吗?”

「なんだ急に」
“怎么这么突然?”

「試合にも出られねーで、飼い殺されて、満足かって聞いてる」
“连比赛都不能参加,还问我被养死了,满意吗?”

アメリカはバスケの聖地だ。アメリカのプロリーグに籍を置くことが、いかに難しいくらい、誰でも知っている。試合に出られなくても、チームにいるだけで価値がある。そういう考え方もある。
美国是篮球的圣地。每个人都知道进入美国职业联赛是多么困难。就算不能参加比赛,只要在队里就很有价值。也有这样的想法。

花道は客を呼ぶ。試合があると、客席にはいつも日本からの応援が来ていた。花道がベンチにいるだけでチケットが売れた。試合に出ない花道を、チームが手放さないのはそういう打算もあった。
花道招来客人。每当有比赛时,观众席上总有来自日本的加油助威。只要花道在替补席上,门票就卖出去了。球队不放弃不参加比赛的花道,也是出于这样的考虑。

「テメーらしくもねぇ。なにを迷ってやがる」
“这可不像你的风格,你还在犹豫什么?”

チームは花道の古巣だった。アメリカに来てはじめて契約したプロチームで、いわばホームのようなものだ。最初にいた頃とは監督もフロントも変わっていたが、恩義も愛着もあったのだと思う。
球队是花道的老东家。这是我来美国后第一支签约的职业球队,可以说是我的家。虽然和最初在的时候相比导演和前台都变了,但是感恩和喜爱也是有的。

移籍をすれば、必ず試合に出られるという保証があるわけではなかった。でも可能性が上がるのは明らかだった。憧れの場所で少ない望みに懸けるか、自分を求める新しい場所を選ぶか。プレーヤーなら、一分でも長くコートにいられる場所を選ぶべきだ。たとえそれが遠く離れた海の向こうであっても。
转会并不能保证他一定能上场比赛。但是很明显,可能性上升了。是在憧憬的地方寄希望于渺茫的希望,还是选择寻求自我的新地方。如果你是一名球员,你应该选择一个能让你在球场上多待一分钟的地方。即使是在遥远的大洋彼岸。

「移籍しろってのか」
“你要我转会?”

「それ以外の選択肢があんのか」
“还有别的选择吗?”

花道も分かっていたはずだ。だからこそ言った。
你应该也知道花道。所以我才说。

「行くなら海外だぞ」
“如果你要去国外”

「それがなんだ」
“那又怎样?”

「おめー、止めねーの」
“你 ---- 阻止不了我?”

「止めたって、行くのがテメーだろ」
“就算你阻止我,我也要去。”

バスケットマンなんだろ、と流川は言った。
你是个篮球运动员吧,流川说。

花道は天を仰いだ。それから大きなため息をついて、頭をがりがりと搔きむしった。流川に向き直ると、ぐっと睨みつけて「ムカつく」と言った。
花道仰望天空。然后长叹一声,用力抓着头。他转向流川,狠狠地瞪了他一眼,说: “真让人生气。”。

「テメーに尻叩かれてるみたいで、腹立つ」
“好像被特梅打屁股了,气死我了。”

「実際そうだろ」
“的确如此。”

「んだと」
“什么?”

「いつまでもグズグズ悩んでんのが悪い」
“一直烦恼下去是不对的。”

どあほう。流川が言うと、花道は背中を丸めてどかっと床に座り込んだ。
白痴。听流川这么一说,花道弓着背一屁股坐在了地上。

「行くよ。行ってやる。テメーに言われなくても、俺はバスケットマンだからな」
“我会去的。我会去的。就算泰辅不说,我也是个篮球运动员。”

花道は言って、床に拳を立てた。
花道说着,在地板上竖起拳头。

「ようやく、らしくなったじゃねーか、天才」
“你终于有点像了,天才

流川が言ってやると、花道は「うるせえ」と不貞腐れた。
流川这么一说,花道便不以为然地说: “啰嗦!”。

「なんで買ったんだよ、家なんか」
“你为什么要买房子?”

花道は座ったまま、頬杖をついた。
花道依旧坐着,手托着腮。

もったいねえ。金の無駄。意味が分かんねえ。花道が次々に言葉を投げつけてきた。
真可惜。浪费钱。真是莫名其妙。花道接二连三地丢出话来。

「別に無駄じゃねぇ」
“没什么没用的。”

「無駄だろ。一人で住むのにこんな広い家」
“没用吧。一个人住这么大的房子。”

「俺のためだけじゃねえ」
“不只是为了我。”

「ならなんだよ」
“那就好。”

花道が顔を上げた。
花道抬起头来。

「テメーが帰る場所があった方がいいと思った」
“我觉得泰梅最好有个地方可以回去。”

流川が言うと、花道は顔をしかめた。
听流川这么一说,花道皱起了眉头。

「なんだそりゃ。言ってることがおかしいだろ。離れて暮らすことになるんだぞ」
“那是什么意思? 你说的话很奇怪吧? 我们要分开生活了。”

「それでも、テメーは最後に俺のところに帰ってくる」
“尽管如此,泰辅最后还是会回到我身边。”

「勝手なこと言ってんじゃねー」
“别胡说八道了。”

わけわかんねーよテメーは。花道は背中を丸めて、黙りこんだ。そしてしばらく、何も言わなかった。
真是莫名其妙。花道弓起背,沉默不语。然后好一阵子,什么也没说。

流川も花道の隣に座った。肩がほんの少しだけ触れた。張り替えたばかりの床から木の匂いがした。新しい窓から、柔らかい光が差していた。
流川也坐在了花道旁边。肩膀稍微碰了一下。刚换过的地板散发出木头的味道。柔和的光线从新窗户射进来。

「テメー、俺と離れるのヤじゃねーの」
“特梅,你不是要离开我吗?”

花道がぽつりと言った。
花道突然冒出一句。

「死ぬほどイヤだ」
“我讨厌死了。”

「なんだよそれ」
“那是什么?”

仕方がない。人生は思ったより短い。その中で選手でいられる時間は、限られている。短い時間のなかでいくつもの選択をする。なにかを選んで、時にはなにかを手放さなければならない。時間は有限で、できることには限りがある。
没办法。生命比你想象的要短暂。你能在其中做运动员的时间是有限的。在短时间内做出多种选择。你必须做出选择,有时候你必须放弃一些东西。时间是有限的,能做的事情是有限的。

「いつからテメーはそんな我慢強くなったんだよ」と花道が言った。
“泰辅什么时候变得这么有耐心了?”花道说。

我慢強いわけではなかった。ただ前に進むしかないなら、どちらを選ぶかというだけのことだ。本当に大事なことは案外少ない。
并不是因为有耐心。如果只能继续前进,那就只能选择哪一个了。真正重要的事情意外地少。

「俺はテメーがバスケしてるのが好きだ」
“我喜欢特梅打篮球

流川が言うと、「答えになってねーよ」と花道が言った。丸い背中がさらに丸くなった。
听流川这么一说,花道说: “这根本算不上回答。”。圆圆的背变得更圆了。

そっと肩を抱くと、花道の体がゆっくりと傾いた。花道の頭が流川の肩に乗った。何も言わずに、しばらくそうしていた。
我轻轻抱住她的肩膀,花道的身体慢慢倾斜。花道的头靠在流川的肩膀上。什么也没说,就这样过了一会儿。

花道はそれから、いくつかの国でプレーした。短い間だが、日本のチームにもいたことがあった。国から国へ、海を越えた。それは短い旅のようだった。
花道然后在几个国家打球。虽然时间很短,但也曾在日本队待过。从一个国家到另一个国家,跨越了大洋。这就像一次短暂的旅行。

一つの旅が終わると、花道は家に戻ってきた。そしてしばらく休むと、また次の旅に出た。
一次旅行结束后,花道回到了家。休息了一会儿,又开始了下一段旅程。

「俺がバスケやめたら、お前どうする」
“如果我不打篮球了,你打算怎么办?”

ある時、花道に聞かれた。
有一次,花道问我。

「どうするってなにが」
“什么怎么办?”

「だから、その、バスケやめても、一緒にいんのかなと」
“所以我想,就算不打篮球了,我们还是在一起吧。”

花道は言うと目をそらした。
花道说完移开了视线。

「どあほう」
“混蛋!”

「なんだよ」
“什么事?”

「テメーはまだわかんねーのか」
“你还不明白吗?”

「うるせえな。わかってるよ」
“少废话,我知道。”

「わかってねぇだろ」
“你不明白”

「聞いてみただけだろうが、一応」
“只是问问而已吧,姑且。”

「なら、教えてやる。一応」
“那我就告诉你。姑且。”

花道を引き寄せて、ありったけの言葉を囁いた。花道は飛びのいて、耳を押さえながら、顔を赤くしていた。
我拉过花道,轻声说出所有的话。花道跳开去,捂着耳朵,满脸通红。

「もう、わかった」
“我知道了。”

体を押しのけようとする手を取って、もう一度引き寄せる。何度も何度も囁いて、やめろと言われてもやめなかった。
我抓住她想把身体推开的手,再次把她拉过来。一遍又一遍地低语,叫我住手,我也没有住手。

「一人旅でもしてみるか」と花道は言った。最後の試合が終わった次の日のことだ。
“要不要一个人旅行看看?”花道说。那是最后一场比赛结束后的第二天。

言ったその日のうちに、店でリュックを買ってきた。その中に荷物をぽんぽんと放り込んで、数日も経たないうちに、花道は本当に旅に出た。
就在我说的那天,我在商店里买了一个背包。将行李砰砰地扔在里面,没过几天,花道就真的上路了。

空港で見送ると、花道が大きく手を振った。十代の頃、流川がアメリカへ発った時のことを思い出した。
在机场送别时,花道大大地挥了挥手。我想起十几岁时,流川去美国的情景。

花道は時々、旅先から電話をかけてきた。
花道不时从旅途中打电话来。

「元気か」
“你好吗?”

「まあまあ」
“还好。”

電話口で聞く花道の声は遠く聞こえた。
花道在电话里的声音听起来很遥远。

花道はいつも「そのうち帰る」と言うばかりで、いつ帰るとは言わなかった。電話は突然かかってきて、ほんの短い間だけ話をして切れた。そのうちに我慢できなくなって、「会いたい」と言うと、「俺も」と電話口で花道が笑った。
花道总是说“过几天就回来”,并没有说什么时候回来。电话来得很突然,只说了很短的时间就挂断了。过了一会儿,我忍无可忍,说: “我想你。”“我也是。”电话那头的花道笑了。

三か月ほどした後、花道は帰ってきた。出るときは小さなリュック一つだけだった荷物が、帰ってきた時には何倍にも増えていた。
三个月后,花道回来了。出门时只有一个小背包的行李,回来时已经增加了好几倍。

荷物の中身は、花道が行った国ごとに買って来た土産だった。大きいものから小さいものまで、数えると全部で三十ほどあった。
行李里装的是花道去过的每个国家买来的土特产。从大的到小的,一共有三十来个。

どこかの国の王族の銅像に、南米の楽器、砂漠の部族が使うまじないの道具に、見たことのない景色が描かれたタペストリー。花道はそれをバッグから一つずつ取り出して、机に並べた。
在某个国家的皇室铜像上,在南美的乐器上,在沙漠部落使用的咒语工具上,挂毯上描绘着从未见过的景色。花道把它们从包里一个个拿出来,摆在桌上。

「大事にしろよ」と言うので、リビングに飾った。増えた土産は、今では置ききれない。
“要好好保管哦。”她说着就把它们摆在了客厅里。增加的土特产,现在已经放不下了。

花道は、分厚くなったパスポートのページを一枚一枚めくって見せた。この国は飯が美味いとか、この国には温泉があるとか、象が道を歩いていたとか、オーロラは見られなかったとか、とりとめもない話を、夜通し話した。
花道把加厚的护照一页一页地翻给我看。我们整夜漫无边际地谈论着这个国家的美食,谈论着这个国家有温泉,谈论着大象在路上行走,谈论着没有看到北极光。

何日かすると、花道は真っ白な世界地図を買ってきた。今まで行った国を赤く塗りつぶすと、「残りも全部回ってやる」と言った。
过了几天,花道买来了一张雪白的世界地图。把至今为止去过的国家涂成红色后,他说“剩下的也全部转过去”。

一年の半分はアメリカで過ごし、半分は旅へ出る。そんな生活がしばらく続いた。地図が全部赤くなるまで、三年ほどかかった。
一年有一半的时间在美国,一半的时间在旅行。这样的生活持续了一段时间。花了三年时间,地图才全部变红。

一度だけ、その旅について行ったことがある。行き先はユーラシア大陸の果てだった。地終わり海始まる、と書かれた碑のある岬で海を見た。海と空以外はなにもない場所だった。
有一次,我跟着他们去旅行。目的地是欧亚大陆的尽头。我在一个海角上看到了大海,海碑上写着: 大地终结,大海开始。那是一个除了海和天空什么都没有的地方。

海はどこも繋がっているはずなのに、日本の海ともアメリカの海とも同じではないような感じがした。遠くに広がる凪いだ海は、はじめて見るような色をしていた。
大海应该到处都是相连的,但是感觉和日本的大海和美国的大海都不一样。远处风平浪静的大海,呈现出初次见到的颜色。

猫を飼いたいとずっと思っていた。子供の頃から、動物を飼ったことがなかった。二人で過ごす時間が増えた頃、猫を飼おうと花道に言ってみた。
我一直想养只猫。我从小就没养过动物。两人在一起的时间增加的时候,我对花道说要养猫。

「絶対世話しないだろ」
“你不会照顾她的”

「する」
“会的。”

「しねーよ。どうせ俺が世話することになんだよ」
“不会的,反正我要照顾她。”

ぶつぶつ文句を言う花道を、家の近くにある猫の保護シェルターに連れて行った。スタッフに促されて猫を抱いた花道は、そのまま動かなくなった。腕の中で猫がにゃーんと鳴くと、「卑怯な手を使いやがって」などと言っていた。
我带着嘟嘟囔囔的花道,来到家附近的猫咪保护庇护所。在工作人员的催促下,抱着猫的花道就这样一动不动了。我怀里的猫咪喵喵叫的时候,我就会说“你这个胆小鬼”之类的话。

最初は黒い猫を飼った。それから白い猫が来た。二匹が三匹になって、そのうちに犬も増えた。犬は花道に似た、短い赤毛だ。
起初,我养了一只黑猫。然后来了一只白猫。两只变成了三只,不久狗也多了起来。狗是类似花道的短红发。

猫は家の中を自由に歩き回って、気ままに寝たり、伸びをしたりしている。犬はもっぱら花道に懐いていて、散歩に行くと、花道の傍を離れない。
猫在家里自由地走来走去,随心所欲地睡觉,伸伸懒腰。狗专门喜欢花道,去散步的时候,它从不离开花道。

流川が花道の隣を歩こうとすると、犬が間に割って入る。そこに割り込もうとすると、うーうーと吠えて来るので、もしかするとライバルだと思われているのかもしれない。
流川正要走在花道旁边,一只狗插了进来。每当我想插进去的时候,它就会发出呜呜的叫声,搞不好它以为我是它的竞争对手。

花道がいない時、犬は寂しそうにしている。気持ちは分かるので、その時ばかりはライバル関係も一時休止する。餌をやるとき以外、流川にはあまり愛想がないが、花道がいない間は多めに撫でてやることにしている。
花道不在的时候,狗显得很寂寞。心情可以理解,所以只有那个时候竞争对手的关系也会暂时停止。除了喂食的时候,她对流川没什么好感,只是花道不在的时候,她会多抚摸他几下。

家は二度変わった。二度目の引っ越しの時に、誓いを立てた。けじめだから、と花道は言った。客は呼ばず、式とも呼べない、役所の一室で宣誓するだけのごく質素なものだ。
房子变了两次。第二次搬家的时候,我立下了誓言。花道说,因为这是一条规矩。客人不叫,也称不上仪式,只是在机关的一个房间里宣誓而已,非常朴素。

部屋には椅子とテーブルがいくつか並んでいた。立会人がいる以外は、会議室のような部屋だった。前の晩、眠れなかったと花道は言っていた。朝からなにやら緊張した様子で、珍しくジャケットを着ていた。
房间里摆着几把椅子和几张桌子。除了有见证人在场,其他房间都像是会议室。花道说头天晚上没睡好。从早上开始就一副很紧张的样子,难得地穿着夹克。

テーブルの上にある紙に書かれた言葉を読み上げると、花道は「以下同文」とだけ言って、終わらせようとした。「ちゃんと言え」と促すと、もごもごと何か言いながら、自分の言葉で話し始めた。
我念着写在桌上纸上的话,花道只说了一句“以下同文”,便要结束。“好好说。”我催促道。他吞吞吐吐地说着什么,开始用自己的语言说话。

式も、届けも、本当はどちらでもよかった。してもしなくても、一緒にいられれば、それほど意味があることだとは思わなかった。
仪式也好,报告也好,其实都无所谓。我没想到,不管做与不做,只要能在一起,就是那么有意义的事。

やめる時もすこやかなる時も。その言葉に、それほどの価値があるとは思わない。一生一緒にいると誓ったところで、別れてしまえばそれまでだ。
无论是放弃的时候还是心情舒畅的时候。我不觉得这句话有什么价值。就算发誓要在一起一辈子,一旦分手,也就到此为止了。

花道とは、今でもよく言い争いをする。何度かに一回は、殴りあうこともある。そういう時に、あの時のことを思い出す。
我和花道现在还经常吵架。有几次甚至还会互相打上一架。这种时候,我就会想起那时候的事。

わたくし、桜木花道は、このキツネと、雨の日も風の日も、ジジイになってヨボヨボで立てなくなっても、一生涯、死ぬまで一緒にいることを誓います。
我,樱木花道,发誓要和这只狐狸在一起,无论刮风下雨,哪怕变成老头子,摇摇晃晃站不起来,也要一辈子和它在一起,直到死去。

がちがちになってそう言った花道の顔を思い浮かべると、大抵のことは許してやってもいいかと思う。
脑海里浮现出花道那张扭扭捏捏说出这句话的脸,我想大部分的事情都可以原谅他。

家はもっぱら快適だが、ベッドが二台あることがだけが不満だ。どうせ一台しか使わないのに、花道が頑なに譲らない。
房子很舒服,只是有两张床而已。反正只用一张,花道却固执地不肯让步。

花道は今でもふらっと旅に出て、その度に家に置物が増えていく。リビングでは収まりきらなくなって、最近は寝室にも並べている。
花道现在也是飘飘然出门旅行,每次家里的摆设都越来越多。在客厅里已经装不下了,最近还摆在卧室里。

木を植えよう、と言ったのは花道だ。バスケのゴールしかない殺風景な庭に、何か植えようと言い出した。
说种树的是花道。我提议在只有篮球终点线的煞风景庭院里种点什么。

毎年花を咲かせるのがいい、と言うので、それなら桜だろう、ということになった。
他说每年都开花比较好,于是我想,那应该是樱花吧。

買ってきたのは、腰の高さほどしかない桜の木だった。枝はまだ細く、植えた年には蕾どころか葉もつけず、こんなものが育つのだろうかと思った。それでも段々と、月日が経つごとに背が伸びて、幹が太くなり、毎年葉をつけるようになった。
买回来的是一棵只及腰高的樱花树。树枝还很细,种植的那年别说是花蕾,连叶子都没有,我想知道这种东西能不能长出来。但渐渐地,随着时间的推移,它们长高了,树干变粗了,每年都长叶子。

五年目の春に、小さな花が咲いた。桜は花道の背丈を超えていた。ほんの少しばかり咲いた花を、花道が見上げていた。花が全部散ってしまうと、「また来年咲けよ」と言って花道が木の幹を撫でた。
第五年的春天,小花开了。樱花已经超过了花道的高度。花道抬头看着开了一点点的花。花朵全部凋谢后,花道抚摸着树干说: “明年再开吧。”。

その様子を見ていたら、涙が出そうになった。
看着她这个样子,我几乎要流泪了。

信じられないことに、最近涙脆くなった。昔は泣く人間の気持ちなんて、まったくわからなかったが、近頃は、泣くとはこういうことかと、思い知らされる。
令人难以置信的是,最近我的眼泪变得很脆弱。过去,我完全不了解哭泣的人是什么心情,但最近,我开始意识到,所谓哭泣原来就是这么回事。

花道に気づかれて、「なんで泣きそうな顔してんだ」とげらげらと笑われた。ひとしきり笑ってから、なぜか花道の方が泣いていた。
被花道发现了,哈哈大笑道: “你怎么一副要哭的样子?”。笑了一阵之后,不知道为什么,花道哭了起来。

「オッサンが二人で泣いてどーすんだ」
“两个大叔一起哭又怎么样?”

涙をぬぐう花道の背を撫でた。あたたかい陽の中で、葉をつけはじめた桜が揺れていた。
抚摸着拭去泪水的花道的背。温暖的阳光下,开始长叶子的樱花摇曳着。

自分のことをいつから好きだったのかと聞かれたことがある。随分今更な質問で、考えてみてもよく分からなかった。
曾经有人问我,从什么时候开始喜欢自己的。这个问题问得太晚了,我想来想去还是不太明白。

「わからん」と答えると、「考えろ」と言われた。考えてみても、やっぱり分からなかった。
“不知道。”我回答。“想想看。”他说。想来想去,还是不明白。

一体どこからはじまったのだろう。記憶を辿ると、花道の怒った顔や笑った顔がいくつも浮かんできた。はじめて会ったのは、高校の屋上だ。入学したばかりの頃で、名前も知らないまま胸倉を掴まれた。決していい思い出ではないはずなのに、その時の景色をやけに覚えている。
到底是从哪里开始的呢。追寻着记忆,花道生气的脸和笑脸浮现在脑海里。第一次见面,是在高中的屋顶上。刚入学的时候,连名字都不知道就被揪住了前襟。这绝对不是什么美好的回忆,但我却对当时的景色记忆犹新。

「はじめて会った時」
“第一次见面的时候”

そう花道に言ってみると、「嘘つけ」と返された。
我这么对花道说,他却回了我一句: “你骗我。”。

「嘘じゃない」
“没骗你。”

多分、と小声で付け加えた。
也许,他小声补充道。

「まぁ、そういうことにしてやるよ」
“好吧,就这么定了。”

花道は機嫌がよさそうだった。
花道看起来心情不错。

「テメーは」と聞いてみた。
我问: “泰梅呢?”。

「さあな」と花道が答えた。
“不知道。”花道回答。

「つうか、言っとくけど俺は今でも、テメーのこと嫌いだからな」
“话说回来,我还是很讨厌泰米。”

何回言ってもドア閉めねーし、朝は全然起きてこねーし、いつまでたっても料理の一つも覚えねーし。花道は不満を並べ立て、こういうところがムカつく、ああいうことが嫌いだ、と途切れなく言った。
不管说多少次都不关门,早上完全起不来,也不记得做什么菜。花道满腹不满,断断续续地说: 我讨厌这种地方,讨厌那种事。

あまりにも嫌いだ嫌いだと言うので、「俺は愛してるけど」と言ってみた。花道は、見たこともないような顔をして、あー、とか、うー、とか言っていた。
他说太讨厌了,太讨厌了。“我爱你,但是”我说。花道露出一副从未见过的表情,“啊 --”、“唔 --”地说着。

料理をしろと言われるが、なにかと理由をつけて、のらりくらりとかわしている。でも最近は少し考え中だ。新しいことを覚えるのも悪くないかという気がしている。
虽然被要求做饭,但总是找个理由,无所事事地躲躲闪闪。不过最近有点想法。我觉得学点新东西也不错。

花道は相変わらずよく笑う。笑うと目尻に小さな皺ができる。肩を抱くと、少し小さくなった気がする。痩せたな、と言うとテメーもな、と言われた。
花道还是那么爱笑。笑的时候眼角会出现细小的皱纹。抱住肩膀,感觉自己变小了一点。我说你瘦了,她说你也瘦了。

言い争いをしていると、犬たちが心配そうな目で見てくる。大丈夫だと言いながら、肩を組んでやると、一応納得したような様子で散っていくが、あまり信用はないようだ。
我们争论着,狗儿们用担心的眼神看着我们。我一边说没问题,一边帮他勾肩搭背。他一副恍然大悟的样子,散去了,但似乎不太可信。

よく晴れた日には、日当たりのいい庭で昼寝する。いつの間にか猫が上に乗っていて、その重さで目を覚ますと、横で花道がけらけらと笑っている。
天气晴朗时,我会在阳光明媚的花园里小睡一会儿。不知什么时候,猫已经骑在上面了,我被它的重量惊醒,发现花道在旁边哈哈大笑。

時々花道の名前を呼んでやる。仕返しのように、花道も名前で呼んでくる。白い歯を見せて笑う顔は、出会った頃と変わらないと思う。
我不时呼唤花道的名字。为了报复,也会直呼花道的名字。露出洁白牙齿的笑脸,我想和刚认识时没什么两样。

庭の桜が咲いてから、もうすぐ二度目の春が来る。今年もまた花が咲いて、その花を二人で見ることができるといい。花が散ったらまた花道は、そっと幹を撫でるだろうか。そう思うと、また少し泣けてくる。
院子里的樱花开了以后,马上就要迎来第二个春天了。希望今年也能再次开花,两个人能一起看到那朵花。花落之后,花道还会轻轻抚摸树干吗。想到这里,我又有点哭了。

痩せた肩も、目尻の皺も、変わらない声も眼差しも、全てを愛おしいと思う。花道と過ごした日々が年輪のように太くなって、その年輪の中で、息をしている。
瘦削的肩膀、眼角的皱纹、不变的声音和眼神,所有的一切都让人觉得可爱。和花道一起度过的日子变得像年轮一样粗壮,在那年轮中,呼吸着。

花道の隣で目が覚めてまた眠る。あくびをすると、花道が笑っている。いつか終わりがくるまで、そうであったらいいと思う。そんなふうに、生きている。
在花道旁醒来又睡着了。打个哈欠,花道在笑。我希望这样,直到有一天结束。就这样,活着。



hanamichi0101 发表于 2023-10-31 12:18:11

花了两个晚上终于看完了,不愧是日本的流花圣经,前三章就被狠狠的揪住了,刘老师就是这么的简单,生活里只有篮球,而花花是命中注定的意外和不可获缺,看到最后感觉心里又甜蜜又怅然若失

蛋挞有些惭愧 发表于 2023-10-31 12:29:59

再看一遍还是好喜欢。。。。该说不愧是母语吗,樱花妹写文真的很细腻

mastery 发表于 2023-10-31 14:39:48

本帖最后由 mastery 于 2023-10-31 14:46 编辑

这一篇真的超级喜欢!!原来的评论丢掉了{:1_444:}特别喜欢流川和花道在海洋馆的约会两个完全不知道怎么约会的笨蛋而且这一篇还有难得的退役描写读完好像和他们一起走完了一生

ccxlj 发表于 2023-11-11 15:42:48

超级喜欢这篇,是流花的人生切片,读之就是真是感觉这两个人从学生时代走过中年又慢慢的步入老年,有激情有迷茫,但是只要是对方在身边就始终能找回自己,做一个平平凡凡,但确是幸幸福福的人!过一个激情满满又忙忙碌碌的一生!{:1_427:}

cypabc0011 发表于 2023-11-14 02:54:58

就是看的有点费劲,好看是好看的。

清泉末冥 发表于 2023-11-19 00:52:56

真的很喜欢这篇,找了很久都没有找到翻译,谢谢!

saburo 发表于 2024-1-3 22:30:25

慕名来看,虽然是机翻,但意思都在,退役后的生活能过的这般安稳,已经是最好的结局了。

“我在一个海角上看到了大海,海碑上写着: 大地终结,大海开始。那是一个除了海和天空什么都没有的地方。”----旅游时去过这个欧洲最西的地标。里斯本郊外的罗卡角(Cabo da Roca)。那块矗立在悬崖边的石碑上刻着葡萄牙最著名的诗人卡蒙斯的名句:“陆止于此、海始于斯”(Onde a terra acaba e o mar começa)。” 其实附近还有一座红白色的灯塔,并不显得荒凉了。

180270 发表于 2024-1-4 00:52:14

聽說彩云機翻挺不差的,可是地區問題一直申請不到彩雲帳號,
有咪搬運實在太幸福了{:1_424:}

小小胖子 发表于 2024-2-5 10:39:44

樱花妹的文好细腻,其实流哥早就无声的告白好多次了,花道什么时候能发现哇
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